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スタートダッシュ

今日は体育祭。すっきりと晴れた秋空の下、全校生徒も先生も保護者も、みんな盛り上がっている様子だ。でも私の心は、なぜか下り坂。その理由とは…。

スタートダッシュ(前半)

今日は体育祭。

すっきりと晴れた秋空の下、
全校生徒も先生も保護者も、
みんな盛り上がっている様子だ。

五十メートル走に玉入れ、
大縄跳びに組体操など、
白熱した戦いが繰り広げられている。

そんな中、
私は極度の緊張と憂鬱な気分を抱えていた。

それもこれも、あのジャンケンのせいだ。

クラス対抗リレーの選手を決める際、
私はジャンケンで負け続けてしまった。
いつもなら負けないはずなのに、
ここぞという時に限って負けてしまう。

しかも私は運動オンチ。
水泳も跳び箱もマラソンも、大の苦手だ。
というよりも、体育祭そのものが苦手なのだ。

クラスのみんなも、そのことは承知のはずだった。
だからこそ、どんなにジャンケンで負けようとも、
こんな運動オンチの人間に、
リレーの選手を任せようなんてことは思わないだろう。

そう、私はたかをくくっていた。

ましてやアンカーになんて選ぶわけがない。
本来、アンカーとは足の速い人が担うはず。
運動オンチには縁のない役割なのだ。

しかし私は選ばれてしまった。
いや、負け続けたことによって、
自らアンカーへの道を選んでしまったとでも言えばいいのだろうか。

そしてまさしく今、
クラス対抗リレーの真っ直中に、私はいる。

  ふとクラスの方を見やった。
余裕そうな顔でこちらを見ている子。
暇そうに友達としゃべっている子。
明らかに期待をしていない素振りで応援だけしている子。

その他大勢が、
おのおの好きなことをして過ごしているようだった。

みんな、勝ちたい気持ちはないのか。
まぁ、そんな気持ちがあれば、
最初から私を選手になんて選ばないのだろうけれど。

あと三人。
あと二人。
あと一人。

ついに私の順番がきた。

バクバク言う心臓を抱えながら、
スタートラインに並ぶ。

トラックを走ってきたクラスメートから、
バトンを手に取った。
緊張の度合いが一気に最高潮に達した。

まさかの一位の座をたくされた私は、
無我夢中で校庭をダッシュし始めた。

(つづく)

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